みなさんこんばんは。
『やっちん』(@yacchin_0310)です。
今回は、これから家を売却される方にとっては必ず知っておきたい「不動産売却の手順」を現役不動産営業マンでる筆者が詳しく解説します。
これを読めば、初めて不動産会社に相談して説明を受けるよりも事前に知っておくことで、ご自身の「質問しないといけないポイント」が明確になります。
まずは、この記事を読んで事前に理解しておきましょう。
家のご売却の流れ
大まかな流れは以下の通りになります。
不動産会社に査定を依頼し、査定価格・販売開始価格の提案を取得する
・不動産会社からの提案をもとに、相談を通じて疑問や不明な点を解消
・販売開始価格の提案や売却活動方法の確認
・担当営業マンと打ち合わせ後、販売開始価格の決定
・担当営業マンより「媒介契約」の種類の説明を受けた後、希望の媒介契約の種別を選び媒介契約を締結
・事前に打ち合わせを行った内容にて販売活動を実施
・内覧希望者が物件を内覧
・購入希望者がみつかれば、売買価格や引き渡し時期などの諸条件の調整を行い、合意に至れば売買契約を締結し手付金を受領する
・諸費用の清算(印紙代、仲介手数料半金)
・住宅ローンがあれば、金融機関へ一括返済の依頼及び抵当権抹消手続きの準備
・新居へ引っ越し
・売却物件残代金の受領、固定資産税・都市計画税等の清算金の受領
・物件に関する書類(建築確認済証や取扱説明書など)や鍵の引き渡し
・諸費用の清算(仲介手数料半金、司法書士費用など)
STEP1 査定
家の売却に関して、まず始めるのは「査定」です。
不動産会社に「査定」を依頼し、
「家がいったい幾らで売却できるのか?」を把握することから始めましょう。
「査定」を依頼する不動産会社は1社だけではなく、筆者がおすすめするのは最低でも3社です。
理由は以下の通りです。
- 不動産会社や担当営業マンの査定方法や考え方によって「査定額」に乖離がある
- 不動産会社によって、売却サポートサービスがあり内容が異なる場合がある
- 自分にあった営業マンを選べる
- 各不動産会社の強みや弱みがわかる
昔から知っている不動産会社や親の代からずっと頼んでいる不動産会社でお任せする売主様もおられますが、1社のみですとその不動産会社が査定した査定価格の信憑性が曖昧だったり、最近では売却サポートサービスも昔と違って各社バリエーションが豊富になっています。
「いろんな不動産会社に足を運んだり、問い合わせするのはめんどくさい!」
そういう方は、不動産売却一括査定というものがあり、インターネット上で数社一括に依頼できるので便利です。
代表的なサイトは、
すまいValue
・大手不動産会社6社が運営(野村不動産ソリューションズ、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、東急リバブル、三井のリハウス、小田急不動産)
・6社合計の店舗数 全国で875店舗(2023年4月10日時点)
・2022年度 成約件数 6社合計 11万件以上 ※2022年度(2022年4月~2023年3月末)実績
・査定依頼件数77万件突破 ※2016年10月サービススタート時から2023年5月時点までの集計
HOME4U(ホームフォーユー)
・NTTデータグループが運営
・実績重視で厳選した不動産会社1,800社と提携
・業界最長 実績20年の一括査定サイト
・売却査定数 累計45万件(2021年6月現在)
イエイ
・ご利用者数400万人突破
・最短60秒で一括査定依頼ができる
・マスコミでも注目されている不動産売却専門のマッチングサイト
・クレームが多い不動産会社は「イエローカード制度」により徹底排除
以上、代表的なサイトをご紹介させていただきました。
ぜひご活用ください。
「しつこい電話営業されるのは嫌だな~」という方は、「査定」を依頼する際に、
「普段仕事が忙しいので、メールのみの対応でお願いします」と記載しましょう。
こういうお願い事を破る営業マンであれば、買主様に対しても約束を破る等の行為をしてしまう可能性があるので、売れるものも売れません。
「断ってよし!」
です。
STEP2 相談
各社の「査定書」は出そろいましたか?
注意するポイントは、3社に査定を依頼したのであれば3社ともお話を聞きましょう。
よくあるケースなのですが、1社毎に訪問or来店の日時の調整をし、1社目にお話を聞きに行った際に、
「最大限お客様のために、販売活動を頑張りますからもう当社で決めてください!」
「ほかの不動産会社も似たような査定額になるので、ほかの不動産会社の話を聞いても一緒でしょう?手間がかかるのでもう当社で媒介契約を締結しましょう!」
このようなゴリ押しで営業をされる営業マンもおられます。
査定額に乖離があったり、販売戦略やアドバイスも各社営業マン毎に特色があるので、査定を依頼した不動産会社にはすべてお話を聞いていただけることをおススメします。
筆者もこのような営業マンにやられて、いざ物件が販売開始になり、該当物件を広告で発見すると
「うちのほうがもっと高く販売開始していたのに・・・」
「この掲載している写真、撮り方が雑やな~・・・」
と思う事がありました。
「高ければ良い」ということではありませんが、売り急いでいないやじっくりと販売していきたいと思うのであれば、
市場価格の範囲内での限界値でまずはチャレンジされたほうが売主様の利益につながります。
また、税金面でのアドバイスも不動産会社は税理士と提携しているところとそうでないところがあるので、不明な点はしっかりと質問をしていただき、良いアドバイスをしていただける不動産会社・営業マンを選びましょう。
STEP3 媒介契約
不動産会社が決定したら、さあ「媒介契約の締結」です。
媒介契約は全部で3種類あり、
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
となります。
詳しくは、こちらをご参照ください。
媒介契約の締結の際に必要な書類等は下記の通りです。
・認印
・身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
・権利証(登記識別情報通知)
・住宅ローンの償還表 ※
※「住宅ローンの償還表」は、売却した資金で一括で返済できるかを確認するために必要となります。
最低限上記4点は準備が必要です。
「認印ではなく実印をご持参ください」等、不動産会社によって異なる場合がありますので、担当営業マンにご確認下さい。
上記4点のほかにも、土地・戸建であれば、
- 測量関係の書類(筆界確認など)
- 建物の確認済証、検査済証
マンションであれば、
- 管理規約、議事録、長期修繕計画
- 新築時パンフレット、図面集
このような書類も、媒介契約締結時にご準備いただく必要がある場合がありますので、まとめて保管しておきましょう。
STEP4 売却活動
媒介契約の締結が終わり、いよいよ売却活動の開始です。
お住まい中のままでの売却活動
不動産会社の主な売却活動として、
- ホームページに掲載
- ポータルサイトに掲載(SUUMOなど)
- 新聞折込広告
- ポスティング広告
- レインズ登録
- ダイレクトメール など
これらの方法で、まず内覧希望のお客様を探していきます。
不動産会社へ問い合わせが入り、内覧希望者の内覧希望の日時をお聞きし、売主様へ確認をさせていただきます。
そして、内覧日の日時が決まり、担当営業マンが内覧希望者と一緒にお伺いさせていただきます。
内覧希望者への売主様の対応は、以前に記事にしていますのでこちらをご確認ください。
空室での売却活動
空室の場合の主な売却活動は「お住まい中のままでの売却活動」と同じですが、それプラス
「オープンハウス」
を実施するケースもあります。
基本、玄関鍵を不動産会社がお預かりしていますので、
土曜日・日曜日などに、新聞折込広告などで告知し、開催時間帯に営業マンが現地で待機します。
しかし、今はインターネットで簡単に室内の写真が確認できたり、360度画像やVRにも対応している物件があり、現地に行かなくてもある程度内覧した状態に近づけられます。
それにより、オープンハウスの来場者も減り、あまり積極的にオープンハウスを実施する不動産会社も少なくなりました。
筆者の勤めている会社でもオープンハウス来場者の成約数は激減し、成約の殆どが「インターネット広告」からの問い合わせのお客様です。
「全然オープンハウスやってくれないなー、売る気がないのかなー?」
と思わないで下さい( ノД`)シクシク…
オープンハウスを実施しない事で生まれた時間は、お客様に電話やメールなどで営業を行ったり、営業マン自らポスティングをしたり売却活動を頑張っています。
担当営業マンを信じましょう!(笑)
STEP5 売買契約の締結
内覧希望者に物件を気に入っていただき「不動産購入申込書(買付け)」をいただきました!
しかし、当初設定していた販売価格から値段の交渉が入る事が多いと思います。
売主様は高く売りたい
買主様は安く買いたい
当然相反する関係ですので、双方の主張をそのままお伝えしても成約に至りません。
不動産営業マンはお互いご納得いただけるよう金額のアドバイスをさせていただきますので、そのアドバイスに耳を傾け後悔しない決断をしましょう。
売買代金やその他諸条件の合意に至れば、いよいよ売買契約です。
売主様は売買契約締結の際に、買主様より手付金を受領します。
・一般的な相場は、売買代金の5%~10%です。(3,000万円の成約であれば150万円~300万円)
・仲介手数料の半金、印紙代の支払い(受領した手付金の中から支払うのが一般的)
※仲介手数料の半金の支払いではなく、最終決済時に仲介手数料全額を支払う場合もあります。
不動産売買契約書のチェックポイントはこちら↓
STEP6 引き渡し(決済)の準備
売買契約締結後、引き渡し(決済)までの期間は、一般的には1か月半~2か月ぐらいです。
その間、売主様は引き渡しの準備を行うのですが、主に次のような準備が必要です。
・抵当権抹消の手続き(住宅ローン一括返済)の申し込み
・司法書士との手続き
・引き渡す書類や鍵の準備
・引越し
抵当権抹消の手続き(住宅ローン一括返済)の申し込み
住宅ローンがまだ残っている場合、金融機関に抵当権抹消の手続きが必要です。
金融機関によっては、窓口へ行かないと手続きができなかったりしますので、遠方にお住いの方や仕事の関係で、平日金融機関に足を運べない方は、郵送での対応や他の方法で手続きができないか相談しましょう。
司法書士との手続き
抵当権抹消や所有権移転の手続きを行うのが司法書士です。
抵当権抹消・所有権移転のみであれば、引き渡し(決済)までに手続きを行うことは無いですが、
- 共有名義で、引き渡し(決済)当日は1名欠席する
- 引渡し(決済)当日、どうしても都合がつかない場合で代理人にお願いする
- 氏名の変更や住所の変更登記が必要
このような場合は、事前に司法書士との打ち合わせ・手続きが必要となります。
一般的には不動産会社がご紹介する司法書士にて手続きを行いますが、知り合いの司法書士に頼みたい等のご希望があれば、事前に担当営業マンにご相談ください。
引き渡す書類や鍵の準備
設備の取扱説明書や建物の確認済証・検査済証、マンションであれば管理規約やパンフレット等、書類を整理しておきます。
玄関鍵等も保管している本数すべて準備をし、もし紛失しているのであれば、紛失してしまった事を買主様にお伝えします。
よく売主様は
「買主様は鍵交換されるでしょう?」
と思われる方が多いですが、そのままの鍵を使うと考えておられる買主様もおられます。
営業マンは買主様に鍵の交換をおススメしますので、鍵を紛失しているようであれば、事前に担当営業マンにお伝えください。
引越し
基本的に引渡し(決済)までに、引越しを完了させ、空家の状態にする必要があります。
引越しに伴う主な手続きは
・電気・ガス・水道の閉栓の連絡
・役所への転出届
・新聞販売店への連絡
・郵便局へ転送届
・粗大ごみの回収依頼
・学校の転校手続き
・インターネットに関する手続き など
様々な手続きが必要となりますので、スケージュールは余裕をもって行動しましょう。
引越しの作業の際に、引越しの段ボールの中に「買主様に引渡す書類や鍵」が紛れ込むことがあります。
引渡し(決済)を当日に迎え、「書類がない!」「鍵がない!」という事にならないよう注意しましょう。
最悪のケースで「権利証(登記識別情報通知)」まで無くしてしまう方もおられます・・・
引越し業者で迷ったらこちら!
インターネット上で、数社一括で見積もりの依頼ができます。
引越し業者も沢山ありますので、こういうサービスを利用すると便利です。
STEP7 引渡し(決済)
いよいよ最後、引渡し(決済)です。
引渡し(決済)で行うことは、
・残代金の受領と領収証の発行
・書類関係、鍵の引渡し
・所有権の移転登記申請
・固定資産税、都市計画税、管理費等の諸費用の清算
・管理会社への区分所有者変更手続き(マンションの場合)
・諸経費の支払い(仲介手数料、司法書士費用など)
・抵当権抹消書類の受け取り
所要時間は、約1時間~2時間です。
金融機関や法務局が開いている平日のみしかお手続きができませんので、お仕事のお休みを取得していただく必要がございます。
買主様や担当営業マンとお会いするのは、この引渡し(決済)で最後になる場合が殆どです。
買主様は売主様に対し手土産を準備される方も多いので、売主様も買主様に対し手土産を準備されたほうが無難でしょう。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか?
今回の売却の流れは、基本的な流れとなります。
買換えでの売却や任意売却など、少し流れが異なる手順もありますので、今後記事にしていければと思います。
売却する前に基本的な流れを押さえ、不明な点があれば「STEP1 査定」や「STEP2 相談」のタイミングで担当営業マンにお尋ねください。
担当営業マンは、買主様・売主様どちらも「よい取引だった」と思っていただけるようお手続きを進めて参ります。
「良い出会い」に巡り合えるようお祈りいたします。
参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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