みなさんこんばんは。
『やっちん』(@yacchin_0310)です。
今回は、不動産仲介営業マンが行う物件調査に関して「特にこういうところに気を付けている点」をお伝えしたいと思います。
「気を付けている点」というのは、しっかり調査しないとクレームに発展してしまう事なので、書面だけで判断せずに「現地調査」「聞き取り調査」を行い「書面に記載されている事と相違が無いか?」「書面に記載されている以外に重要なことは無いか?」を調べる必要があります。
特に不動産仲介会社に入社して1年~2年の新人営業マンがミスしてしまう重要なポイントがあるので、これを機会に現在行っている調査方法が十分かどうか振り返るきっかけになればと思います。
中古マンションの取引におけるトラブルの傾向
不動産取引全体でトラブルとなる場合の事案ですが、国土交通省の「令和元年度宅地建物取引業法の施行状況調結果」によると
1.重要事項の説明(約34%)
2.契約の解除(9.7%)
3.瑕疵問題(5.6%)
4.報酬(5.5%)
5.契約書面(5%)
6.その他
となり、「重要事項説明書」の内容でトラブルになるケースが最も多いです。
重要事項の手順ですが、まず
・役所での調査 ・現地調査 ・近隣聞き取り ・管理員、管理会社に聞き取り
・重要事項説明書作成 ・売買契約書作成 ・その他「覚書」「配管図」等
・事前説明 ・重要事項説明 ・売買契約書読み合わせ
となりますが、◆調査確認(聞き取り調査を含む)が最もトラブルが多く、約80%となります。
重要事項説明書に記載されている内容で「調査不足」や「説明不足」を理由に損害賠償請求に発展する場合があります。
中古マンションの物件調査で注意すべき点は
- 聞き取り調査
- 周辺環境
- 共用部分
- 専用使用権
です。
分譲マンションの場合は、特有の調査確認ポイントがあります。
「区分所有法」が適用されているので、
- 管理規約がある
- 集会での決議事項がある
- 専有部分と共用部分
- 利用制限に関する規約の定め
- 計画修繕積立金に関する事項
- 管理費用の額 等々
土地・戸建の取引にはない、マンション特有の説明事項があり、トラブルになるポイントは「管理規約の説明の誤り」や「共用部分の調査漏れ」等があります。
管理会社(自主管理であれば理事長)への確認不足
実際に起こった事例ですが、
「大規模修繕分担金」のトラブル
不動産仲介会社は事前に、重要事項説明書を作成するために、管理会社に費用を支払い、マンションの管理内容が記載されている「重要事項に係る調査報告書」という書類を入手します。
その書類には
- 現在の管理費・修繕積立金等の月額
- 修繕積立金積立総額
- 借入金残高
- 大規模修繕工事の予定
- 滞納の額
- 管理費・修繕積立金等の改定の予定 等々
が記載されています。
その中の「大規模修繕工事の予定」欄に、大規模修繕工事が計画されているが、「修繕積立金積立総額」で賄い、別途分担金は無しとあり、重要事項説明書に記載。
買主様へ無事に物件引き渡し後、いざ大規模修繕工事が行われた際に、各所有者に対し、金60万円の分担金が発生したと、買主様からクレームがありました。
管理会社から取得した「重要事項に係る調査報告書」には、大規模修繕工事に関する分担金は無しと記載がありましたが、「重要事項に係る調査報告書」取得後に大規模修繕工事が修繕積立金で賄えない可能性が浮上し、分担金が徴収される見込みが出たそうです。
不動産仲介会社側の立場としては、管理会社が発行した「重要事項に係る調査報告書」に分担金無しと記載があれば、管理会社へ責任転換したいところですが、記載されている内容は後日変更されることがあり、予見可能であれば不動産仲介会社のミスとなります。
管理会社の担当者や、現地管理員への聞き取り調査を行っていれば、防げる可能性が高かったと思います。
ペット飼育OKのマンションでの説明トラブル
ワンちゃんを飼っているお客様に、ペット飼育OKの中古マンションをご紹介。
管理規約では「ペット飼育可(ただし、大型犬不可)」と記載されていたので、念のため、ワンちゃんの犬種を確認をしたところ、
「コーギー」です。
との事。
ん?「コーギー」って大型犬?
念のために事前にネットで検索してみたところ、個体差はあるが「中型犬」と記載されていたので、大型犬じゃないからOKだろう判断。
そのまま売買契約を済ませ、スムーズに物件の引渡しも終わり、その後すぐに買主様からクレームの連絡
「わたしの可愛いコーギーちゃんが、基準以上の大きさで飼えない!」
と、すごい剣幕でクレームの連絡がり、管理規約以外に「ペット飼育細則」という書類があり、その中にペットの体重や体長の細かなルールがあり、そのルールだと「コーギーちゃん」がサイズオーバーで飼えない事が判明しました。
新築当時の管理規約は売主様から預かっていたものがありましたが、最近になって「ペット飼育細則」が追加で発行されており、そのことを売主様から報告が無く、管理会社へも確認せず、料金を支払いへば最新の管理規約を取得することが出来ましたが、売主様から管理規約を預かっており、まさか「ペット飼育細則」が追加で発行していることは想像していなかったようです。
この事例も事前に、管理会社の担当者や現地管理員に、ペットの事について聞き取り調査をすれば防げた可能性が高いですが、聞き取り調査を行っていない事により起きたトラブルです。
分譲マンションの一室を事務所として使用
稀に、居住用分譲マンションの一室を「事務所」として使用を希望するお客様がおられ、「事務所」として使用できる分譲マンションを仲介。
管理会社からの「重要事項に係る調査報告書」によると、「事務所使用は可能」だったので、なんの疑いもなく取引をしたが、トラブルになった事例があります。
お客様からは「保険の代理店」での事務所使用でお聞きしており、新人営業マンは特に問題なしと思っていましたが、トラブルになった際によくよく調べると「事務所はOKだが、不特定が出入りする業種は禁止」との事で、お客様の「保険の代理店」へ不特定の出入りがあり、管理組合から退去を求められたそうです。
結果、お客様から事務所使用ができないことを理由に損害賠償請求をしてこられました。
管理規約に「不特定多数の出入りは禁止」という一文が記載されていたので、その箇所の見落としが一番のミスですが、
現地に管理員がいないマンションなので、管理会社の担当者に「聞き取り調査」をすればトラブルにならなかった可能性はあったと思います。
現地調査をしっかり行わなかった事によるトラブル
特に現地調査しないとわからない事といえば
- 騒音の確認
- 臭気の確認
- 隣の部屋や隣地の確認
- 共用部の掲示板
などがあり、これら全てを注意し調査しておけば、トラブルは未然に防ぐことができます。
「騒音の確認」は、幹線道路沿いや線路沿いの物件であれば、明らかに予見できますが、近くに会社や工場等があると、現地訪問やお客様の案内等は土曜日・日曜日が殆どで、近くの会社のルーティンで、平日の朝11時に毎日トラックへの荷物の荷下ろしがあるとその騒音に気づけない場合があります。
このような場合も、あえて色んな時間帯に現地に行ったり、管理員等から聞き取り調査をすれば判明すると思います。
臭気に関しても、工場や近くの河川からの臭気があるかどうか、いろんな時間帯での現地調査と聞き取り調査がトラブルを未然に防ぎます。
また、マンション内での掲示板に注目すると、「騒音問題の注意喚起」や「バルコニーでの喫煙」等の事が記載されている場合があり、管理員に詳しい内容を聞くと親身になって教えてくれる場合があります。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか?
今回の記事に記載させて頂いた事例以外にも様々なトラブルがあり、ほんの一部です。
「現地調査」や「聞き取り調査」を行うとこれらのトラブルを未然に防ぐことができるため、しっかりと調査を行う必要があります。
所有者(売主様)の聞き取り調査だけだと、所有者の気持ちとしては少しでも高く売却したいという気持ちから、マイナスになるような事柄をあまり積極的に話してくれない事が多いです。
話してくれも過小に話す売主様もおられるので、売主様のお話だけを鵜吞みにせずしっかりと「現地調査」「聞き取り調査」を行いましょう。
トラブルを未然に防止するためには、
・「重要事項に係る調査報告書」「管理規約」等の資料を過信しない
・調査から売買契約時まで、状況が変わる可能性がある
・自ら確認し、様々なルートから裏付けをとる
・設備関連は可能な限り、稼働確認をする
・憶測で判断しない
・曖昧な点は必ず「聞き取り調査」
・不自然な点、違和感がある点は、納得するまで調査
以上の事が大事です。
トラブルになると、関わった全ての人が後味の悪い取引となります。
物件のお引き渡し後、関わった全ての人が気持ちのいい取引となるようしっかり「調査」を行い、良い思い出の残る営業マンを目指しましょう!
最後までお読みいただき、有難うございました。
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