みなさんこんばんは。
『やっちん』(@yacchin_0310)です。
今回のテーマは「リベ大不動産」が年始早々Twitter上で炎上しているらしいとの事なので、その内容を僕が現役不動産営業マンの視点で解説していきたいと思います。
この記事を読めばこんな事が分かります。
- リベ大不動産とは?
- 不動産賃貸業の仕組み
- なぜ炎上したのか?
一般の方にはわからない不動産業界内の仕組みがリベ大不動産が炎上した事によって表面化した部分がありますので、この記事を読んでいただき賃貸物件を探す際の参考にしていただければと思います。
それでは解説していきます。
【リベ大不動産】は超有名なYouTuberが立ち上げた不動産会社です。
【リベ大不動産】をご存じで無い方も大勢おられると思いますので、まずは【リベ大不動産】について解説していきます。
『お金の不安を解消して自由で豊かな生活を手に入れよう』
というテーマでYouTubeなどで発信をしている【両学長】が立ち上げた不動産会社です。
YouTubeをよくご覧になられている方であれば、可愛いライオンのキャラクターが特徴の「両学長 リベラルアーツ大学」というチャンネルを一度は見たことがあるのではないでしょうか?
リベラルアーツ大学とは
日本一自由なIT会社の社長(兼、投資家)の両と、有志のスタッフが運営しているWebコンテンツの総称。
「自由に生きる人を増やしたい!」という思いのもと、≪時間の自由≫≪経済的自立≫≪精神的自立≫を得るために必要な知識を様々な形で配信しています。
※YouTube≪両学長 リベラルアーツ大学≫概要欄から引用
僕もYouTubeをよく視聴しているので、参考にさせていただいた動画が沢山あります。
特に資産運用や副業など、お金にまつわるコンテンツを沢山配信されている方で、YouTubeの登録者数がなんと228万人!(※2023年1月現在)
さらに、配信している動画本数が1500本以上とYouTubeをよく視聴される方にとっては、間違いなく有名なチャンネルです。
そんな人気YouTubeチャンネルを運営している≪両学長≫という方が、なんと不動産会社を設立しました。
リベ大不動産ってどんな不動産会社?
リベ大不動産の公式サイトを確認すると
現在は賃貸仲介業務のみを行っており、特徴は、
- 強引な営業はしない
- 仲介手数料は0円~最大で賃料の0.3か月分
- 来店不要。連絡はLINEでやりとりします。
- お客様に事前の物件探しにご協力いただく。
- 必要以上の費用は請求しない。
- 対応地域は大阪市内のみ 2023年1月現在(※今後、全国に拡大予定)
- 物件の内見は現地集合が基本
となります。
家を借りる方にとっては「仲介手数料は0円~最大で賃料の0.3か月分」で、初期費用を安く抑える事が嬉しいのではないでしょうか?
なぜTwitterで炎上したのか?
家を借りる方が「事前に自分で物件探しをする」「内見の際は、現地集合」など、お客様自身で動かいないといけない事はあるものの、仲介手数料が0円~最大で賃料の0.3か月分はとても魅力があります。
では、なぜ炎上したのでしょうか?
炎上したポイントは、上記で説明した
お客様に事前の物件探しに協力していただく。
この「お客様に事前の物件探しに協力していただく。」という点において炎上したとの事です。
この点について、リベ大不動産公式ホームページを確認すると
気になる物件をインターネット(SUUMO・HOME’S・アットホームなど)からピックアップして、公式LINEから問い合わせてください。
とあります。
これはどういうことかというと、
SUUMO・HOME’S・アットホームなどのポータルサイトに他社が掲載されている物件で、気になる物件があればリベ大不動産でその物件を案内しますよ。※他社の専任物件はご紹介できない事もある
という事になります。
一般の方からすると
「それの何が問題なの?」
と思われる方が多いと思いますが、同じ不動産会社からすると
自社で時間とお金をかけてポータルサイトに掲載した物件なのに、リベ大不動産にお客さんを取られるっ!
となり、同じ不動産会社関係からバッシングを受け、Twitterで炎上しました。
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住んでからの生活がイメージしやすい、マンションのクチコミが掲載されていているポータルサイト
この問題を理解するには、不動産賃貸仲介業の仕組みを知る必要がある。
皆さんがご覧になられている「SUUMO・HOME’S・アットホーム」などのポータルサイトに物件が掲載される流れを代表的な3つのケースをご紹介させていただきます。
①貸主(大家)が不動産会社1社に賃貸管理・賃貸募集などを全て任せているケース
このパターンでの不動産会社の業務は一般的に
- 賃貸募集業務の主な活動
-
- 自社ホームページやSUUMO・HOME’S・アットホームなどのポータルサイトに物件掲載
- レインズ(不動産流通機構)に物件掲載を行い、他不動産会社へ物件紹介
- 店舗に来店されたお客様に物件紹介
- 賃貸借契約や解約などの手続き業務
-
- 賃貸借契約・重要事項説明書など賃貸借契約に関する書類を作成
- 火災保険や賃貸保証会社などの手続き
- 解約時の立会いや清算業務
- 借主への重要事項説明や賃貸借契約書の説明
- 建物の管理や入居中のクレーム対応
-
- エレベーターやオートロック、廊下の照明など故障した際の業者の手配
- 入居中の借主からの設備トラブル等の対応
- その他クレームなどの対応
- 賃料の集金管理、滞納者への対応
-
- 借主からの毎月の家賃を集金し、貸主へまとめて送金
- 家賃滞納者に対して督促業務
- 悪質な家賃滞納者に対応するべく、弁護士・司法書士など相談
上記のように賃貸経営に関するほぼ全ての業務を不動産会社が行い、賃貸募集のために物件をポータルサイトに掲載するのもこの不動産会社が行います。
このケースのポータルサイトに物件が掲載される特徴は、
- ポータルサイトに掲載している不動産会社は、管理している不動産会社1社のみ
- 例外もあり、管理している不動産会社が他不動産会社に対し「広告してもOK」ならば、様々な不動産会社がポータルサイトに掲載
管理している不動産会社は、管理を全て任されている以上、貸主の為に空室があれば早急に埋める義務があり、自社の募集だけでなく「レインズ(不動産流通機構)」に物件を登録し、他の不動産会社にも情報を公開し、借主を紹介してもらう事によって、早く成約できるように活動します。
◆「Real Estate Infomation Network System」の略で、訳すと「不動産情報ネットワークシステム」
◆宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、通称「レインズ」と呼ばれています。
◆全国に4法人(東日本、中部圏、近畿圏、西日本)が設立されており、それぞれの法人が担当する地域の不動産情報の交換業務等を行っています。
早い話が、
レインズに掲載されている物件は、どの不動産会社でもその物件をお客様に紹介できる
という事です。
レインズについては、過去に売買での内容が中心ですが記事を書いたので、詳しくはそちらをご参照ください。↓
②貸主(大家)自身で賃貸管理を行い、賃貸募集のみ不動産会社に依頼する
貸主が賃貸募集を依頼する不動産会社は、大まかに
信頼している1社のみに依頼する
決めてくれるのならどこでもいいので、複数社に依頼する
の2パターンあります。
しかし、空室を埋めるのなら少しでも早いほうが良いので、複数社に依頼している貸主が多い印象です。
依頼されている不動産会社が1社のみの場合は、当然にポータルサイトに掲載。
複数社が募集している物件だと、基本ポータルサイトに掲載する不動産会社のほうが多いですが、
「自社で成約できななかったら利益0で、掲載料分マイナス」
になるので、掲載しない不動産会社もあります。
③貸主(大家)が不動産会社で、自らポータルサイトに掲載
物件を保有しているのが不動産会社であれば、貸主自らポータルサイトに掲載し、賃貸募集を行う会社があります。
この場合、貸主(不動産会社)と借主とが直接契約を結びますので、仲介になりません。
よって、仲介手数料0円になります。
ポータルサイトの概要欄【取引態様】のところに、「貸主」とあれば、仲介手数料は発生しません。
レインズの登録もする
自社掲載のポータルサイトだけではすぐに借主が見つからない場合もあるため、レインズにも物件を登録し、他の不動産会社にも情報公開します。
場合によっては「広告OK」としている貸主もあるので、その場合も同じ物件が複数社からポータルサイトに掲載されています。
賃貸仲介の事でよく聞く「広告料」って何?
「広告料」のご説明の前に、そもそも賃貸仲介の場合の「仲介手数料」はご存じですか?
賃貸に関する仲介手数料の額は、宅地建物取引業法に記載されており、
内容を要約すると
賃貸契約に関する仲介手数料は「家賃の1か月分+消費税が上限」と定められており、
基本は、【借主0.5ヵ月分、貸主0.5ヵ月分】(税別)
どちらか一方の承諾が得ている場合は、【家賃の1ヵ月分】(税別)の報酬を得る事ができる。
その場合でも1契約につき報酬の合計は「家賃の1か月分+消費税」を超えてはならない。
※2023年1月現在
となります。
僕が約20年前に不動産会社に就職した会社では、借主から家賃の1か月分を受領しており、その頃の他不動産会社も家賃の1か月分の仲介手数料を受領する会社が殆どでした。
現在は、不動産会社の数も多くなり、他社との競争で、仲介手数料は家賃の0.5ヵ月分や仲介手数料無料の会社などが増えてきました。
なので、リベ大不動産の「仲介手数料が0円~最大で賃料の0.3か月分」は目新しいことではなく、既に実施している不動産会社が沢山あります。
仲介手数料が安いのに、不動産会社は儲かるの?
仲介手数料が安い不動産会社はどうやって儲かるの?
と疑問に思われる方が多いと思いますが、昨今、賃貸住宅の数が多くなり、物件を所有している貸主は空室を埋める事に必死です。
そこで登場するのが「広告料」なのですが、貸主が優先的に自分の物件を紹介してもらうために、物件を決めてくれた不動産会社に「広告料」という名目で支払います。
一般的に「広告料」は、家賃の1か月分~2ヵ月分が多いですが、似たような物件が多いエリアや空室が中々決まらない物件を所有している貸主だと3ヵ月分(それ以上の場合もあり)も支払う事もあります。
借主から仲介手数料0.5ヵ月分 5万円(税別)
貸主から広告料2ヵ月分 10万円(税別)
合計15万円(税別)
「借主から仲介手数料0.5ヵ月であれば、貸主から仲介手数料0.5ヵ月分を受領したらいいんじゃないの?」
と思いますが、昔は殆どの不動産会社は「借主から家賃の1か月分」を受領しており、貸主から仲介手数料の名目で受領していない為、現在も昔の名残で貸主が仲介手数料の名目で支払う事は殆ど無いと思います。
余談ですが「広告料」で受領するのは・・・
今回の記事では、業界内で一般的に「広告料」と呼んでいるのでそのまま使用していますが、宅建業者が「広告料」という名目で金銭受領する事は、宅建業法違反となる可能性があります。
●依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、報酬規程に定められる報酬とは別に受ける事ができる。
●しかし、報酬と別に受ける事ができる広告の料金は、大手新聞への広告掲載料等報酬の範囲名で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金である。通常必要とされる程度の広告宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれている。
●宅建業者は、定められた額を超えて報酬を受けてはならない。ADなどと称して、通常必要とされる程度の広告宣伝費用を報酬規程の範囲外で広告料を受領することは、宅建業法に違反する違法行為である。
※公益社団法人 全日本不動産協会 「広告料(いわゆるAD)について」一部抜粋
なので、「広告料」という名目ではなく、「業務委託費」「管理委任料」など名前を変えて受領している不動産会社もあります。
他社がポータルサイトに掲載している物件。掲載していない不動産会社が紹介しても良い?
結論から申し上げて、僕の考えでは「紹介してもOK」だと思います。
賛否両論あるかと思いますが、ほぼ全ての不動産営業マンは紹介してます。
というのも、お客様のほうから、
SUUMOで、〇〇駅徒歩5分の〇〇〇〇マンションが家賃〇〇万円で他社から掲載されているけど『やっちん』さんから紹介できる?
そんな問い合わせは日常茶飯事です。
当然僕はレインズで調べて、その物件が募集中であれば、
はい。その物件、弊社からでも紹介できるので、次の日曜日、内見しましょう。
となります。
さらに、
ポータルサイトで気になった物件が有ったら、僕に言ってくださいね。弊社からでも紹介できる物件が沢山あるので。
このように、レインズに掲載されている物件は、どこの不動産会社でも紹介できる仕組みなので、不動産営業マンとしては、信頼していただいているお客様の為に行動します。
その物件は、他社がポータルサイトに掲載しているので、その不動産会社に問い合わせてください。
このような不動産営業マンはいないと思います。(たぶん・・・)
お客様は、信頼している不動産営業マンに「入居するまでの手続きを行って欲しい」と思っている方も多いで、不動産営業マンはお客様のご要望があれば、その物件を調査し、紹介可能であればご案内します。
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住んでからの生活がイメージしやすい、マンションのクチコミが掲載されていているポータルサイト
では、なぜリベ大不動産は炎上したのか?
ポータルサイトに掲載していない不動産会社が物件を紹介してもいいのなら、なんでリベ大不動産がダメなの?
と疑問に思われると思いますが、
「ポータルサイトに掲載している他社物件を取り扱う」という事を全面的に押し出している点
この点が、同業界からバッシングを受けているポイントと思います。
先ほどご説明したように、リベ大不動産と同じような事は、各不動産会社も行っています。
しかし、賃貸物件を取り扱う不動産会社の特徴は、
- 利便性の良いところに店舗を構え
- 物件の管理も行い
- 賃貸募集の為に写真撮影などをし、ポータルサイトに物件を掲載
- 問い合わせのあったお客様を営業車でご案内
などを行っている会社が殆どで、「ポータルサイトに掲載している他社物件も取り扱う」事は、お客様への様々な営業活動している中の1つです。
そういう不動産会社からすると、
時間とお金をかけてポータルサイトに掲載した物件を「お客様がポータルサイトで内見したい物件が有ったらこっちに問い合わせてね」と大々的にホームページなどで広告している不動産会社を敬遠するのも理解できるのではないでしょうか?
まとめ
今回は、「リベ大不動産がなぜTwitterで炎上したのか?」について解説しました。
「ポータルサイトに掲載している他社物件を取り扱う」事は、特に珍しい営業手法ではなく、既に同じような不動産会社はあります。
しかし、人気YouTuberで、影響力のある方が全面的にこの手法をアピールしたことで、同じ不動産業界から反感を買う羽目になりました。
懸念されるのは、他の不動産会社から「リベ大不動産からの申し込みなら断る」と相手にされなくなる可能性がある事です。
なぜかというと、YouTube「両学長 リベラルアーツ大学」では、「賃貸を安く借りる方法」や「家賃を下げる方法」などを発信していますので、貸主や管理会社にとってはあまり良い内容ではありません。
リベ大不動産経由での入居申し込みは、
「解約清算の時に揉めそうだな・・・」
「入居してからも家賃交渉されそう・・・」
など、管理する側・貸す側からすると身構えてしまいます。
「一般の消費者が少しでもお得に」というスタンスはとても素晴らしいことではありますが、気に入った物件があっても借りれないという事が起こるかもしれません。
借主・貸主・不動産会社、全てがwin-win-winになるような取引ができればよいのですが・・・
今後の「リベ大不動産」の動向は、同じ不動産業界で働く人間として気になるところではありますので、チェックしていきたいなーと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考になれば嬉しいです。
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